飾り箪笥・文机の御修理と納品/2023.8.9

以前、展示会にお越し頂いたお客様から、御母様から受け継がれたという飾り箪笥と文机の修理をご依頼頂き、その作業を進めていました。

そのお客様の御母様は、きっとどちらも大変お気に召されてお使いになられていたのだなぁと思われるような、暮らしの中に溶け込んでいたような、使い込まれた跡の残る箪笥と文机でした。

拭漆の工程を幾度と重ね、漆の艶が蘇り、色も鮮やかな紅檀と生漆の重なる美しい色合いになり、この度納品に伺ったお客様にもとても喜んで頂けました。作家冥利に尽きるひと時でした。

御修理の作品をお渡しする時は、そんなお客様の喜んで下さるお顔が、作り手の励みになります。またその作品がどれだけ大事にされてきたかも分かる一瞬でもあり、それに恥じないお直しが出来たかどうか、自身と向き合い直す一瞬でもあります。

■文机と飾り皿

お客様の御快諾を頂いて記載しています。納品にお宅へ伺った際は、すでに設置するための場所と台が用意されていて、待っていたんですよと仰られたお気持ちが伝わってきました。文机はリビングテーブルとして、しばらく眺めて喜びます、とのこと。天板の細い溝に合わせて薄く削って微調整した細い木をはめ込んだ箇所も、細かいお仕事をと、お言葉を頂き重ねてありがたい限りです。

■飾り箪笥

同じ御母様から受け継がれた飾り箪笥、こちらは御姉妹で分けられた別のお宅へ納品です。天板を外し、各々パーツに分けて拭漆を繰り返した後、また元の形に戻し漆で接着しました。こちらも長く御母様がご愛用なさっていたと伺っていましたので、これからもずっとお使い頂けるように心をこめて御修理しました。残念なことにご自宅へ納品させて頂いた時の写真を撮るのを忘れました。。。ですのでこちらは我が家の塗部屋で完成した折に撮影したものです。